日本脂質生化学会の目的は、脂質研究の発展と向上を図ること、また、研究者同士の交流や親睦を深めることにあります。
生体脂質の構造、代謝、機能に興味を持つ研究者の集まりである本会は、1961年に「日本脂質生化学研究会」として発足し、2003年に「日本脂質生化学会」へと発展的に改称されました。研究者が自らの研究成果を発表し、会員間の自由闊達なコミュニケーションを大切にする本会の設立理念は、60年以上にわたり揺るぎなく受け継がれています。
これまでに、多くの研究者が本会に関わり、脂質に関するさまざまなオリジナルな発見がなされてきました。これらの発見は、人類の健康に資する応用例を数多く生み出しており、生体脂質研究の分野において、日本は世界の中でも確固たる地位を築いています。
現代では、技術開発が加速度的に進んでおり、多くの科学分野が従来の枠組みにとらわれず、多様な新しい手法を柔軟に取り入れながら発展しています。脂質生化学の研究でも、技術革新を背景に、生化学的手法を大切にしながら、遺伝学や細胞生物学、構造生物学、情報生物学といった多様な学問分野の手法や考え方を積極的に取り入れ、日々進歩しています。
本会では、脂質を専門とする研究者はもちろん、他分野で脂質に興味を持つ研究者の参加や協働を歓迎しています。これからも、活発な活動を通じて、脂質研究のさらなる発展に貢献してまいります。
日本脂質生化学会
会長 花田賢太郎
令和7年(2025年)1月
このページは第50回日本脂質生化学会(2008年6月5日、徳島)における会長講演「第50回年会を迎えた日本脂質生化学会:更なる発展を目指して」(国立医薬品食品衛生研究所 西島 正弘)の講演資料および第61回日本脂質生化学会(2019年7月4日、札幌)における講演「脂質生化学研究の草分け、山川民夫先生逝く」(東大・御茶ノ水大名誉教授 脊山 洋右)の講演資料を元に作成されています。
日本生化学会総会(安田守雄主催)で“脂質”のシンポジウム(世話人:山川民夫、原一郎)
複合脂質の構造、分離・精製、生理作用、脂質と臨床
“脂質生化学”上下2巻の発行
1953年 | 第1回 International Conference on the Biochemical Problems of Lipids(ブリュッセル)開催、 R. Ruyssen(会長)のもとに88名が集まる |
1955年 | 第2回 International Conference on the Biochemistry of Lipids(ゲント)開催 |
1960年 | Journal of Lipid Researchが創刊。第6回 ICBL(マルセイユ)開催、安田守雄、船橋三郎、原一郎が参加 |
1957年 第1回が刀根山病院で開催(大阪市大丹羽充氏が世話人)
“私たちは近い将来にリピドは生化学の中心課題の一つに浮かび上がってくるに違いない、すでにそのきざしが現れてきていると信じます。‥‥私たちがいろいろな問題を研究していて、リピドが何か重要な役目を果たしていると感じていながら、方法論や実験技術や基礎組織が不十分で手を出せないでいることはないでしょうか。‥‥リピドの重要性を認めて関心をもたれる方が集まって、‥‥余り形式ばらないで語り合うことにしたらどうでしょう。そして一応方向が決まったら、最近のリピドの問題の紹介、研究発表、実験技術や経験の交換、討論などもしたいと思います。‥‥学会の真似事にならないように‥‥”
1959年 | 文部省科研費で総合研究“リン脂質の酵素化学的研究”が採択 (代表者:船橋三郎;分担者:山川民夫、丸尾文治、野田万次郎、藤野安彦、原一郎、福場博保) |
1960年10月31日 | 本郷郵便局横の向上会館でリピドの研究会の発足を決定 |
1961年6月17日 | 第1回研究集会が日本化学会図書館講堂で開催 |
1962年 | 第2回研究集会が藤沢薬品本社講堂で開催。 刀根山病院の谷氏、小倉氏、山村氏当が担当 |
第1回、第2回ともに参加者は約200名で盛会であった
1961年~1968年 | 東大農学部舟橋研 | 会長 安田守雄 |
1969年~1975年 | 東大医学部血清学教室(原一郎先生) | 会長 安田守雄 |
1976年~1992年 | 帝京大学医学部生化学教室(植田伸夫先生) | 会長 原 一郎 会長 山川民夫 |
1993年~2004年 | 日本学会事務センター | 会長 野島庄七 会長 脊山洋右 |
2005年~2010年 | コングレ | 会長 西島正弘 |
2011年~2016年 | コングレ(~2011)、春恒社(2012~) | 会長 和泉孝志 |
2017年~ | 春恒社 | 会長 新井洋由 |
1988年 | 第29回 ICBL東京(野島庄七) |
1988年 | 第3回 臨床研コンファランス(山川民夫) |
1989年 | 第3回 国際PAF会議(野島庄七) |
1996年 | 糖脂質・スフィンゴ糖脂質に関するゴードン会議(永井克孝) |
2001年 | 第7回 国際PAF会議:PLM2001(和久敬蔵) |
2001年 | 武田シンポジウム(野島、井上、西島) |
2004年 | 糖脂質・スフィンゴ糖脂質に関するゴードン会議(鈴木明身) |
2006年 | FASEB Summer Research Conferences(工藤一郎) |
2009年 | 第4回 Phospholipse A2 and Lipid Mediators(新井洋由) |
2012年 | 糖脂質・スフィンゴ糖脂質に関するゴードン会議(五十嵐靖之) |
2015年 | 第6回 Phospholipse A2 and Lipid Mediators(村上 誠) |
2019年 | 第60回 ICBL東京(有田 誠) |
1959年 | 文部省科研費で総合研究「リン脂質の酵素化学的研究」 |
1997年~2002年 | 科学技術庁総合研究「生体膜脂質の新しい機能の解析技術と制御技術の開発に関する研究」 |
2000年~2004年 | 文科省特定領域研究「スフィンゴ脂質による生体膜ドメイン形成と多機能シグナリング」 |
2005年~2012年 | JST 戦略的創造研究推進事業「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御基盤技術」 |
2010年〜2015年 | 文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「生命応答を制御する脂質マシナリー」 |
2013年~2019年 | JST 戦略的創造研究推進事業 及び AMED 革新的先端研究開発支援事業「疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出」 |
2015年〜2020年 | 文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「脂質クオリティが解き明かす生命現象」 |
2015年~2021年 | AMED 革新的先端研究開発支援事業「画期的医薬品等の創出をめざす脂質の生理活性と機能の解明」 |
2021年~ | JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO「有田リピドームアトラスプロジェクト」 |
※本会と関係の深い公的な大型研究費のみ記載
2010年~2014年 | 日本学術振興会科研費 研究成果公開促進費「生理活性脂質データベース LipidBank」 |
2015年~2016年 | 日本学術振興会科研費 研究成果公開促進費「生理活性脂質データベース LipidBank」(単年) |
2016年~2017年 | 日本学術振興会科研費 研究成果公開促進費「生理活性脂質データベース LipidBank」(単年) |
本会を日本脂質生化学会(The Japanese Conference on the Biochemistry of Lipids, JCBL)と称する。
本会は脂質の領域における化学的、生化学的研究の発展と向上を図り、あわせて研究者相互の連絡および親睦を深めることを目的とする。
本会は、第2条の目的を達成するために、次の事業をおこなう。
(1)研究集会の開催
(2)その他、本会の目的を達成するために必要な事業
本会の会員には次の種類がある。
(1)正会員は、脂質の化学的、生化学的研究に従事し、本会で定めた会費を納入する者。
(2)学生会員は、大学院または大学等に在籍し、脂質の化学的、生化学的研究に関連する分野を専攻する者で、正会員1の推薦をうけて本会に登録を行い、本会で定めた会費を納入する者。
(3)賛助会員は、本会の目的に賛同し、本会を維持することに協力し、本会で定めた会費を 納入する者。
(4)名誉会員は、幹事会の推薦により、総会の承認で決定される。名誉会員の会費は免除される。
(1)本会は、その運営のために、役員として会長1名、庶務幹事1名、会計幹事1名、会計監査1名をおき、役員会を構成する。
(2)本会の運営上の重要事項について役員会の諮問に応ずるものとして幹事をおく。
(3)役員および幹事は幹事会を構成し、会務の一切を処理する。幹事会は決定事項を総会に報告し、その承認を得るものとする。
(4)名誉会長をおくことができる。名誉会長・名誉会員は幹事会に出席して意見を述べることができる。
(5)会長、庶務幹事、会計幹事、会計監査の任期は2年とし、幹事の任期は4年とする、重任はさまたげない。
総会は、会長がこれを招集し、次の事項を審議し、決定または承認する。決定または承認は、総会出席者の半数以上の合意を必要とする。
(1)予算および決算に関する事項
(2)幹事会の提案事項
(3)幹事会の決定に関する承認事項
(4)その他
本会を運営するために、次の如く経理をおこなう。
(1)本会の事業年度は、毎年1月1日より12月31日とし、予算および決算を会報に掲載する。
(2)経理は、会計監査によって監査される。
(3)当該年度の経理状況は、総会に報告され、その承認を得るものとする。
(4)本会の経費は、会費および寄附金による。
本会は会務に関する一切の事務をおこなうために事務局を置き、庶務幹事がこれを運営して、会員の便宜を供する。
本会の事務局は、〒169-0072 東京都新宿区大久保2-4-12 新宿ラムダックスビル10階(株)春恒社内におく。
(1)本会則は、総会の承認を経て変更することができる。
(2)本会の会費は、幹事会で決定し、総会の承認を得るものとする。
(2002年6月14日改訂)
(2005年6月2日改訂)
(2011年5月13日改訂)
539名(2023年12月12日現在)
名誉会員37名、正会員434名、学生会員59名、賛助会員9名
会長:花田 賢太郎
庶務幹事:進藤 英雄
会計幹事:市 育代
会計監査:新井 洋由
岩川 外史郎
橋立(吉田) 智美
尾上 美保
委員長:青木 淳賢
副委員長:横山 和明、有田 正規
事務局長:酒井 祥太
委員長:池田 和貴
副委員長:大野 祐介
539名(2023年12月12日現在)
名誉会員37名、正会員434名、学生会員59名、賛助会員9名